ヤマカイさんとヒューマさん

バレエダンサーYouTuberの動画をよく見る人はご存知かと思いますが、最近また、古典バレエが冒涜されていないかと危惧するダンサーと、バレエの認知度を上げるために多くの人に働きかける活動を精力的に行っている方との、意見の衝突がありました。(衝突というと語弊があるかな、一方が他方の批判をSNSで発信したことがきっかけで、様々な意見が炎上した、が近いかも。)

ヒューマ 日記 のヒューマさんと、ヤマカイTV のヤマカイさんです。

始まりは、ヒューマさんが投稿した動画でした。「バレエを広めるためといいながらそうとは思えないYouTube活動をしている人がいて、それがとても不愉快だ」という内容のものでした。サムネイルですでに想像はついていましたが、動画を全部見ると、明らかにヤマカイさんのことを言っているなという内容になっていて、緊張しながら見終えました。

それを見たヤマカイさんは、自分がどうしてこういう動画を上げてきたかの理由の説明や、確かにヒューマさんの言うように反省しなきゃいけない点もあったという謝罪、ヒューマさんが事実と違うことを言っていたことに対する訂正をするための動画を出しました。

そのあとさらに、二人とも動画を1つずつ出されていて(2022年1月24日16時現在)、合計4つ、最初から最後まで見たのですが、もう正直、どっちの言うこともわかりすぎて、どちらも真剣だからこそ起こる衝突であるわけで、双方が分かり合える結果になるのが一番望ましいけど、なれるとしても時間がかかるかもしれない、それまでお互いにもやもやした時間を過ごすことにもなるのかもしれない、と、少々辛い気持ちになりました。
ですがお二人とも、それぞれ自身の2つ目の動画やコメント欄にて、引きずらないよう自分のやることをやっていくという旨の発言をされているので、どちらかが、または両方が潰れてしまうようなことにはならないのではないかな、と期待しています。

『バレエ』という括りの中でそれを極めることだけに毎日励んでいる方と、少しでも多くの人にバレエを知ってもらい、ファンになってもらうために、バレエと接点がなかった人まで含め多くの人に働きかけている方。この2タイプは恐らく、個人対個人、団体対団体、規模や知名度の大小を問わずたくさん存在しているでしょう。少し前には、寺田翠さんと松浦景子さんの例がありました。

バレエは高尚な芸術であり、本当にわかる人に良さをわかってもらえたらそれでよい、とする考え方、よくわかります。簡単な例で言うなら、脚が上がってたくさん回れてたらすごいのではなく、バレエ独特のラインや間合いや制御感や役の表現まで揃って初めてすごいと思ってほしい、というようなことでしょうか。(もちろんもっと深い意味でもいろいろあるのでしょう。)

ですが、わかりそうな人だけ見てねというスタンスでいては、多くの集客を続けることは難しいのではないかと思うのです。よく話に聞くことですが、日本ではバレエダンサーの活動だけでは生活していけないそうで、もちろん国の芸術に対する考え方が大きいのだろうとは思いますが、チケットを買うことになる一般の人の興味を引けていないことも大きな要因なわけで。
だから、今までバレエを知らなかった人にも、バレエの一部におもしろ要素を乗せて見せて惹きつけることで、バレエを『チラ見』してもらうことから始めているのが、ヤマカイさんや松浦さんなのではないかと思うのです。チラ見した人たちの中でもしかしたら、実際に舞台を観に行こうと思ってくれる人がいるかもしれないし、その中には、本物のバレエの凄さに気づいてくれる人が出てくるかもしれません。分母を増やして分子を増やそうとしているんですよね。日本でバレエを職業として確立させるには、そういった活動は必要、というよりよく思いついてくれましたね、ありがとうございます!と私は思います。

そして、古典を守ることを貫く人の存在も絶対必要。もちろん、ヤマカイさんや松浦さんが古典を守ろうとしていないわけではないですが、おもしろ要素に惹きつけられはしたけど本物にたどり着く前に終わってしまう人も少なからず出てくるはずで、その人たちの中では、ヒューマさんや寺田さんが危惧しているような、本来のバレエの魅力と違うものが、バレエのイメージとして定着してしまう恐れも、あるにはあると思います。
だから、というか、そうでなくても、ですが、頑として古典の素晴らしさを守っていく人が若い人の中からどんどん出てこないと、古典バレエが受け継がれていかなくなるでしょう。

結論。両方のタイプが必要不可欠!

両方のタイプが、ご自身が追及することに励んでいけば、効果がうまく作用しあって、『バレエ』の存在感が増すことになっていくのではないかと思います。

超平和的な、事なかれ主義にも聞こえる結論ですが、本当に、そう思います。

【1月25日1時追記】24日夜に、ヤマカイさんは活動休止されるという動画が出ていました。それを見て初めて、今回の問題はバレエに関わるスタンスの違いというよりはむしろ、批判のされ方とその後の対応なんだなと気がつきました。ヒューマさんの最初の動画でドキッとしながらも、内容のことだけ考えて書いた自分が恥ずかしいです。休止は寂しいですが、ヤマカイさんが心身を休めてまた活動してくださることを心待ちにしています。

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「ヤマカイさんとヒューマさん」への1件のフィードバック

  1. 「チラ見」からの誘導をヒューマさんも寺田さんも否定してはいないと思いますよ
    ヒューマさんも元々ヤマカイtv視聴者だったとのことですし
    問題はその職業を名乗り広める際にその職業を貶めるような動画を作り続けたことだと思います
    現在もヤマカイさんはバレエへの興味が無かった人々がますますバレエに悪いイメージを持つ動画を作り続けてますね

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