バレエがうまくなりたくて陥りがちな間違い

  • うまく動けたら○○筋が筋肉痛になるはず、と聞き、その筋肉に力が入った感覚を得ることを目的としてしまい、○○筋にぎゅーっと力を加えることからやろうとしてしまう
  • 力抜いて、の注意を守ろうと本当に脱力してしまい、筋肉が機能していないのに気付いていない
  • 先生の言葉を思い出しながらやることだけが唯一にして最強の上達方法だと思い込む

この3つ、いわゆる”素直な”人がやってしまいがちな間違いです。

1つ目は、以前の投稿『お腹の崩れの原因はお腹だけにあらず』で書いたことでもあるのですが、「お腹使わないとこの動きはできない」「アラベスクが正しく上がれば背中に効くはず」「内腿を使って脚を戻す」「足の裏を使う」といったことができていないと自覚しているがために、お腹・背中・内腿・足の裏に力をこめ、硬くなったり痛くなったりする状態を作り出すことが目的になってしまうことです。私もこれをやってバランスを崩し続けていた時期がありました。

そのおかげで各所の筋力は強くなるかもしれませんが、最終的には体全体の筋肉が連動して働いて初めて、バランスを保ったまま美しくいろんな動きができるんだと思うのです。バーレッスンから踊りの練習までを通じて、バランスがとれて苦しくなく弱々しくもなく動けた感じがする日というのは、どこかの筋肉に集中していたわけではないものです。(そういう日は先生の反応も良いことが多いです。)

もし、今日はお腹のことだけ気をつけたらうまくできた!ということがあったとしたら、それは、お腹以外で普段からしっかり使えていた筋肉(例えば脚)がその日は考えなくても機能してくれていたからで、ずっとお腹のことだけ考えるということを続けていたら今度は脚が弱くなって結局うまくいかない、というような日がまた訪れてしまうと思います(これも私は経験済み)。

バレエはたぶん、あの美しい形を目指すだけで必要な筋力がついていくようなメカニズムになっているんですよね。(当たり前ですが目指すというのは、心に思い描くだけとかいうスピリチュアルな話ではなく、ちゃんと体の各パーツのポジションを目で見て確認しながら正しい形を目指すということです。)

脚の外旋がうまくいったらお尻あたりが筋肉痛になるはず、と聞いて、お尻をぎゅーっとすることから始めてもうまくいきません。とりあえずぎゅーっとした状態で鏡を見たら、ほぼ100%、この形は違う!という状態になっています。

しかし逆に、2つ目のように、力を抜きなさいと言われることもバレエでは多いです。これも誤解を生みがちで、例えば脚の外旋を保とうとしてお尻あたりに適した力が働いているのに、力入れちゃダメと言われたな、と思って必要な力まで抜いてしまうと、当然うまく動けなくなってしまいます。

力を使う、力を抜く、どちらもその言葉を言っている人の主観からはそれが正しいからその言葉になっているだけであって、全員が同じように思うことで必ずうまくいくというものではありません。

使うもの抜くもつまりは、筋肉が必要に応じて自在に収縮することが必要で、静止した状態(力入れすぎて固まった状態とか、脱力してぷらんぷらんで機能していない状態とか)は良くないよ、ということなんだと思います。

この、同じ状態を表すのにも人によって選ぶ言葉が違うというのは永遠につきまとう難しさであって、”素直な”人ほど、先生の言葉通りにやっているのにできない自分はここが限界なんだなというつまらない結論にたどりついてしまいがちです。

ある動きを実現するのに働くべき筋肉がどれか、という視点で見れば、正解は1つしかありませんが、狙った筋肉が働くようにするためにはどのような意識やイメージを持てばいいかは人ぞれぞれなはず。だから、いつも同じ言葉で注意されるのにできないから、その言葉を思い浮かべてできるようになるまでは他のことはやっちゃいけないとか、絶対に思わないことです。

だから、まずは正しいバレエの動きがどういうのか、プロの人の動きをたくさん見てイメージを頭に叩き込んで、自分の動きと比べながら修正方法を探すという地道な過程が、本気で動きを改善したいと思っているなら必要だと思います。もし、頭で思うことと体の動きとの関係性が先生とまったく同じ感覚の人がいるとするなら、その人は先生の言葉どおりやることが近道かもしれませんが、そんな奇跡はまずありませんよね。

どんな注意も、まあまずはやってみるのがいいですが、全くピンとこないとかむしろ動きにくくなるとかであれば、その日の自分には合わない言葉なんだと割り切って横に置いておき、他にどう意識すればうまくいくか、をいろいろ考えて試しましょう。そうしていく過程で、どう意識したら自分はどうなるか、という資料がたくさんできていくはず。その中からうまくいったパターンを組み合わせていくとか、新しい自分のアイディアや新たな注意や横に置いておいた注意を組み合わせるとか、さらにいろいろ試していくことで、自分の体にとっての正解を少しずつ見つけていくんです。

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